もうその記憶は極めてあいまいだが、おそらく僕が幼稚園から小学校低学年くらいのときの出来事だろう。
僕の親は、特に小さい頃はよくいろんな場所へ僕を連れて行ってくれた。そうやって家族で行った観光名所の記憶の一つなのだと思うが、時代劇のようなものをみた記憶がある。
時代劇と言っても舞台でやっているのではなく、屋外に作られた一軒家と庭が丸々入っている映画のセットのようなところで行われていた。そのセット以外の記憶が全くないので場所はわからないのだが、今調べてみたところ「映画村」で似たようなことをやっているので、そこである可能性もなくはない。
宙返りしたりととても派手な内容だったが、そこで見た時代劇が当時すでに「リョナ」という業に捉われていた僕の心に、鮮烈な印象として残っている。
物語は忍者の姉弟の話だった。まだ小さかったこともあり内容はろくに理解できていなかったが、とりあえずその姉弟は宿命により、なにか悪の組織的なものと戦っていた。
姉弟の設定は10代後半くらいだったと思う。役者さんの年齢などは当時の僕には及びもつかないが、10代とはいかぬまでも若い方だったと思う。主人公である弟の名前はサスケだった。姉の名前はどうも思い出せないが、サスケを叱ったり勝気な性格だった。
さて幼い僕が把握できたストーリーの流れなのだが、とりあえず前半はサスケと姉、そしてあと少し味方がいたかもしれないが、彼らが悪の組織の下っ端を華麗なアクションでやっつける特撮ものでよくある感じ。後半その組織のボスがでてきてサスケたちは苦戦。…というものだった。
幼い僕は、サスケの姉の美しさというか、ミニスカ(だったと思う)で「えいっ!たあっ!」と雑魚を片付けて行くカッコよさに見とれていた。
後半、敵のボスが登場した後、また颯爽とかけて路地に入って行こうとする姉忍者。路地というのは家の間に作られてる道のこと。ここでポイントは、観客席(立ち見だったけど)からは路地の先まで見えていることだ。そしてその路地の先から先ほどのボスが部下を従えてこっちに歩いてきているではないか。
敵のボスと鉢合わせ、全く躊躇もなく瞬間的に「たあーーーっ!」と今まで雑魚を葬ってきたときのように短刀を振りかざしてボスに挑んでいく姉忍者。だが今まであんなにも華麗に敵を倒していた姉忍者は、一瞬で「ズボォッ!」という音とともに(この音は設置されたスピーカーから人工的に出されたもの)、腹を刀で貫かれて(視覚的にそう見えるように後ろを通しているだけだが)、敗北してしまった。
まあ別にこのあとボコボコにされるとかではなく、一瞬で腹を貫かれしゃがみ込んだ姉忍者をほっぽって、ボスはさっさと走っていってしまうのだが、今まで勇ましく凛々しく雑魚を葬っていたくノ一があまりにも一瞬でやられてその後もぞんざいな扱いを受けていることに、ボスの前では今まで自分が倒した雑魚同然の扱いになってしまっていることに、幼い僕のリョナ心はドキドキだったのであった。
さて結局物語はその後、サスケがボスと一騎打ちになって、よくあるすれ違いざまに斬り合ってどっちかが倒れる的な演出でサスケが敗北。しかしボスが倒れたサスケに背を向けて立ち去ろうとするところを、サスケが最後の力を振り絞って後ろから飛びかかって刀を突きさし、ボスを倒す。姉忍者は腹をおさえて脇でしゃがみながら戦力外よろしく戦闘を見守っていたのだが、ボスを倒したあと倒れ込んだサスケの名を叫びながら彼を抱きかかえる。サスケは「耳元ででけぇ声出すなよ…」的なことをいいながら息絶え、そしてすぐ涙ながらに姉も重なるように息絶える。
ナレーションが「○○家の血筋は絶えた…」的なことをいってEND。
ボスのやられ方が間抜けすぎなうえに、この終わり方でいいのかという感じだが、大筋は間違っていないと思う。
この時代劇がいったいなんだったのか調べようにも、わかっている主人公の名前とかで検索かけても「NARUTO」ばっかりでさっぱりわからない。もう20年近くも前のことなのでどうしようもないのかもしれないが、何か情報があれば頂きたいものだ。
なんかSSでもあんのかと思って読み始めた人ごめんなさい!
次回からはまたですます調に戻るよ!
ちょっと毛色を変えた更新にしてみました。では!
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